厚生労働省「健康食品の正しい利用法」
「健康食品の正しい利用法」とは、厚生労働省の医薬食品局食品安全部が作った一般の方を対象とした健康食品に関する情報提供用パンフレットです。
このパンフレットは厚労省のHPの中から探すことができます。目次で言うと次の順番です。
ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 健康・医療 > 食品 > 食品安全関係のパンフレット
「食品安全関係のパンフレット」のページ
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/pamph.html
この「食品安全関係のパンフレット」のページの下の方に「健康食品の正しい利用法(平成25年3月改定)」があります。その中の「全体版 [4,442KB]」が今回紹介するパンフレットです。
「健康食品の正しい利用方法」厚生労働省医薬食品局食品安全部
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/dl/kenkou_shokuhin00.pdf
このパンフレットの中には
・健康食品を選ぶ前に気をつけたい「成分名」「含有量」
・健康食品を使う前にアレルギーに注意する
・健康食品は天然・自然のものなら安心?
・専門家・研究者、有名人が推薦しているものは?
など、健康食品を使う前に知っておきたい情報が掲載されています。葉酸サプリは健康食品であり、商品の中には栄養機能食品として販売している会社もあります。
これを読むと、いわゆる健康食品メーカーの売り方に対して、惑わされずに冷静に受け止めなさいと警告していることが分かります。
アレルギーに注意する
葉酸サプリの中にも「天然素材だから安心」などの文句で、やたらと「安心」「自然」を強調してくるところがあります。
我々消費者はたしかに自然なら安心だろうと思ってしまいがちですが、実は必ずしもそうとは限りません。それはアレルギーについて無視しているからです。
厚労省によると「天然・自然由来成分を原料とする製品でもアレルギーの原因となり、因果関係が明確でない報告を含め、健康被害が多数あります」。
その原料として「三七人参、ローヤルゼリー、コリアンダー、ウコン、エキナセア、コロハ、ザクロ、スピルリナ、ゼラチン、プロポリスなど」
葉酸サプリで上の原材料が入ってるものはないかチェックしたところ、
ローヤルゼリー…オーガニックレーベルの葉酸、kodakara
ザクロ…オーガニックレーベルの葉酸、amoamo
ゼラチン…美タミーナ 葉酸サプリ+、プレミンママ
・・・けっこう入ってますね。特にザクロは女性ホルモンのバランスを整えるなど女性向けサプリにけっこう入っている材料なので注意が必要ですね。
天然・自然のものなら安心?
厚労省では天然由来で気をつけたいこととして以下の5つのポイントを挙げています。
1.天然由来品が合成品に比べて品質・安全性が上位という証拠はない
2.アレルギーの原因になりやすい(上記の項目を参照↑)
3.産地・収穫時期、天候などの条件によって品質が一定しない傾向がある
4.いろいろな成分が含まれており、含有する全ての成分が明らかとなってるわけではない
5.有害物質・不純物などが除去されていない可能性もある。
そして結論として「『天然・自然』とうたうことが、その製品の安全性や有効性を証明するものではありません。天然由来品製品の特徴をよく理解して『天然・自然』の言葉にまどわされないようにしましょう」と言っています。
さて、葉酸サプリの場合、気をつけないといけないのは天然葉酸の品質についてです。
天然の食材から抽出するといっても、野菜の栄養価は季節によって変動します。また個体によっても差があるため、抽出したサプリに表示されている成分量が本当に入ってるかハッキリとしていません。
特に天然葉酸(ポリグルタミン酸型の葉酸)は吸収率が安定せず、25%から81%の間で変動し、研究結果からは平均して約50%という数字が出ています)。そのままでは分子構造が不安定なため、わざわざ加工して安定化しているのが現状なのです。
他の栄養素なら天然の方が良い場合もあるかもしれませんが、葉酸に限っては合成葉酸(モノグルタミン酸型葉酸)の方が吸収率が85%と高いため、厚労省も妊婦に合成葉酸を推奨しています。
また天然由来の場合、ブロッコリーやほうれん草などの野菜から抽出しますが、その野菜がもしどこで作られたのか分からない、農薬がたっぷりかかった野菜だったら果たして安全といえるでしょうか?
天然由来をHP上でうたうなら、使った野菜がどこでどのように作られたのか、産地や農薬の有無までハッキリと示さないと安心はできません。しかし、それらの情報を公開しているところは少ないです
唯一確認できたのはドクターズチョイスのオーガニック天然葉酸で、ここはアメリカ農務省が認定したオーガニック栽培の有機レモンから抽出しています。またメーカーに聞いたところ、こちらの商品はポリグルタミン酸型の葉酸、つまり100%天然葉酸だそうです。
同じように天然表記をしているベルタ葉酸サプリや美的ヌーボに質問しているのですが、現時点では返答がありません。
おそらく天然由来の抽出分に加えて合成葉酸であるモノグルタミン酸型の葉酸を足して作っているようで、100%の天然葉酸ではないようです。
「専門家・研究者」「有名人」が推薦しているものは?
HP上に医者、産婦人科、研究者、専門家、芸能人、モデルさんなどが登場して商品を推薦するのはよくある手法です。安心できる材料ではありますが、これらにも懸念があります。。
厚労省によると「たとえ専門家であっても、1人だけでなく『複数の専門家による客観的な評価』が必要です」とあります。
つまり専門家の間でも意見が分かれることもあり、一人が言ってるからといって正しいとは限らないわけです。だから複数の意見が必要なのです。
また「そのほか『特許番号』『受賞歴』など製品の有効性とは無関係な情報やマスメディアの情報も割り引いて受け止めるようにしましょう」とあります。
特許があるから有効とは限らないし、モンドセレクションの金賞を受賞してるからといって製品の有効性とは関連ない場合もあります。
体験談がたくさん寄せられてる製品なので私も使ってみたい
体験談はないよりはたくさん載ってる方が参考になるし、信頼度も高まるのですが、厚労省曰く、「体験談は根拠があいまいで、捏造されている可能性もあります」と警告しています。
たしかに飲んで実感があったのかもしれませんが、科学実験でないので有効性の証明にはなりません。飲んだ人の性別・年齢・体質・既往歴から、どの成分をどのくらいの量、どのくらいの期間、食べて、その結果、何がどのように変化したのか明らかにしないといけません。
しかし普通の体験談でそこまで書くことはありません。またサプリと同時期になにか医学的な治療を受けていた可能性もあり、本当にサプリだけで実感が生まれたのかはっきりしません。
いい内容のものだけを抽出して体験談として載せているケースもあり、あまり過度な期待はしない方がよいでしょう。
成分名、含有量を見る
よく原材料名に「○○抽出物」とか「○○エキス」「○○粉末」「○○酵素」と書いてあることがあります。
しかし厚労省によると「実はそれぞれの原材料に含まれる具体的な物質名が不明である場合があります。たとえば『ウコン抽出物』としか表示されていない場合、『どれくらいの量のウコンから』『どのような抽出方法で』『何を抽出したのか』分かりません。」
つまり何が入ってるのか分からなければ有効なのか安全なのか分かりません。特に天然由来でいろいろな成分を複数添加しているサプリは成分同士がお互いにどのような影響を与えるのかほとんど検討してない場合もあるようです。
葉酸サプリでチェックしてみると
美的ヌーボ…原材料の大半に「○○抽出物」とつきます。
amoamo…大豆胚芽抽出物、ルイボス茶エキス
ベジママ…ルイボス茶抽出物
kodakara…マカエキス末、無臭ニンニクエキス、ショウガエキス、冬虫夏草エキス、西洋タンポポエキス末
プレミンママ…ルイボス茶エキス
…など「抽出物」「エキス」がいっぱいです。
また成分名が表示されていても含有量が書いてない場合もあります。厚労省は「実際に成分名表示はあっても含有量表示のない製品を分析したところ、その成分が検出されなかった(入ってなかった)という報告があります」と書いています。
栄養成分表示を載せている葉酸サプリはまだマシなのですが、中には載せてないサプリもあります。
栄養成分表示を載せていない葉酸サプリ
オーガニックレーベルの葉酸、ドクターズチョイスの天然葉酸、美タミーナ 葉酸サプリ+、プレミンママ
なお、葉酸サプリの原材料名一覧はこちらのページをどうぞ