間違えやすい妊娠時期別の葉酸の摂取量とは?
「妊娠中、妊活中の女性は1日400μg摂取すればいいんでしょ?」
はい、たしかに間違っていませんが、100点の正解ではありません。
正確に言うと、1日400μgの葉酸をサプリで摂取する必要があるのは
妊娠を計画している女性と妊娠の可能性がある妊娠1ヶ月〜3ヶ月の女性だけです。
妊娠3ヶ月もすれば妊娠が分かります。妊娠4ヶ月目以降の妊婦はサプリではなく通常の食事の中から摂れる葉酸(食事性葉酸)を1日480μg摂取することが推奨されています。
そして出産したら今度は授乳婦として1日340μgの食事性葉酸の摂取が推奨されています。
なお妊娠・出産に関係のない18才から49才の女性は1日240μgの摂取が推奨されています。
「じゃあ、妊娠後もずっとサプリを飲んでたら過剰摂取になるの?」
はい、これは行き過ぎなければ心配はあまり必要ありません。
現在、成人男性が1日の食事から摂取する葉酸は平均で320μg、成人女性の場合304μgと言われています。つまり普通に食事していれば、あえてサプリを飲む必要もありません。
妊婦になると480μg必要ですが、葉酸が不足する分を食事だけで補うのは大変なので、その場合は過剰摂取にならないように上手にサプリを利用するといいでしょう。
よく4粒で400μg含有の葉酸サプリがありますよね。あれを2粒くらい飲めばプラス200μgになるので1日の必要量に足りるでしょう。
サプリを選ぶ際は1粒で400μgのものより、2粒もしくは4粒で400μgのサプリを選ぶと妊娠時期により数を調節できるので便利といえますね。
「葉酸を過剰摂取するとどうなるの?」
葉酸を大量(1〜10mg=1,000〜10,000μg))に摂取した場合、発熱・蕁麻疹・紅斑・かゆみ・呼吸障害などの葉酸過敏症を起こすことがあります。
また、副作用としてビタミンB12欠乏症の診断を困難にしたり、亜鉛と複合体を形成して小腸からの亜鉛の吸収を抑制する可能性があり、そのため食事摂取基準でも1日の上限量が設けられています。
よく「合成葉酸を過剰摂取すると生まれてくる胎児の喘息リスクが高くなる」と言われますが、これはアメリカの実験結果を元にしています。
それは「妊娠後期(30−34週)に1mg(1,000μg)の葉酸(プテロイルモノグルタミン酸)のサプリメントを飲んでいた場合は、飲んでいなかった場合と比べて、小児が3.5歳の時点で喘息になるリスクが1.26倍高かった」という報告です。
つまり葉酸の上限量をしっかり守っていれば赤ちゃんの喘息リスクも関係ありません。
合成葉酸だから危険と結びつけて天然葉酸をアピールするメーカーが多いですが、どのサプリも葉酸はモノグルタミン酸型だから、天然も合成も実は関係ありません。
飲み過ぎることが危険なのであって、飲み過ぎなければ天然葉酸だろうが合成葉酸だろうがどっちでもリスクはないのです。メーカーの煽り文句に乗せられないようにしっかり理解しておきましょ。