国民生活センター「胎児の正常な発育に役立つ「葉酸」を摂取できるとうたった健康食品」

国民生活センター「胎児の正常な発育に役立つ「葉酸」を摂取できるとうたった健康食品」

 

国民生活センターが2011年に発表した報告書「胎児の正常な発育に役立つ「葉酸」を摂取できるとうたった健康食品」について説明します。

 

報告書の概要について

 

この報告書の趣旨について

 

・葉酸が胎児の正常な発育に必要なこと
・厚労省も葉酸の摂取を推奨していること
・しかし食事性葉酸は吸収率が50%で妊娠期の摂取量を満たせない
・そこで葉酸の健康食品で必要な量を摂取することが望ましい

 

という考えで、市販されている葉酸入りのサプリや健康食品26銘柄について、その葉酸含有量が表示どおりであるか調査したものです。

 

※当サイトで紹介しているヤマノの葉酸サプリも対象に含まれています。

 

26銘柄の選び方

 

東京・神奈川の大手ドラッグストアの店頭で確認できた商品、楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazonにおいて「葉酸」で検索し確認できた銘柄。

 

1.ディアナチュラ 葉酸 400μg(アサヒ フードアンドヘルスケア)
2.葉酸 400(井藤漢方製薬)
3.LIFE STYLE 天然・B群マルチビタミン B-50 コンプレックス(エープライム)
4.ネイチャーメイド Folic Acid 葉酸 200μg(大塚製薬)
5.ビタミンB群+葉酸 Vitamin B family + Folic acid (オーガランド)
6.Folic acid 葉酸(オリヒロプランデュ)
7.葉酸たっぷり凝縮粒(グリーンメディカル)
8.葉酸(健康フーズ)
9.葉酸(小林製薬)
10.バイオン3 BION3 (佐藤製薬)
11.FOLIC ACID 葉酸(大創産業)
12.葉酸(ディーエイチシー)
13.たんぽぽサプリ 葉酸+鉄(ティーライフ)
14.Vitalcares Folic Acid 葉酸(400μg)(日本ダグラスラボラトリーズ)
15.MVP 葉酸+ヘム鉄(ネイチャーラボ)
16.葉酸タブレットEX(FOLIC ACID TABLET EX)(バイオセーフ)

17.緑の小粒 葉酸プラス鉄(ヘルスファーム)
18.セルフコントロールシリーズ 葉酸+鉄+銅(補完医療製薬)
19.葉酸サプリ(ヤマノ)
20.葉酸粒(山本漢方製薬)
21.緑豆まるごと葉酸(シナジーカンパニージャパン)
22.サーモン オメガ-3-ホレート(日本ファミリーケア)
23.葉酸+鉄(パル)
24.ピジョンサプリメント 葉酸プラス(ピジョン)
25.HEALTHY-One (FOLIC ACID)葉酸(美高商事)
26.葉酸+鉄+DHA(ユースモア)

 

 

テスト内容と結果

 

テスト内容としては以下の3つを調査しています。

 

・葉酸含有量
・胃の中での溶けやすさ
・表示が適正か

 

その結果分かったことは以下のとおりです。

 

葉酸含有量・胃の中での溶けやすさ

 

・葉酸含有量は1銘柄をのぞき、ほとんどが誤差の範囲内(±20%以内)だった。
・原材料に「葉酸」表記のない商品(つまり「天然由来」)でもほぼ全てがモノグルタミン酸型の葉酸であり、食事性葉酸ではなかった。
・胃の中で溶けにくいものが2銘柄、「腸で溶ける」という表示でも胃で溶ける可能性のあるものが1銘柄あった。

 

表示の適正さ

 

・「食事性葉酸」と「モノグルタミン酸型の葉酸」との違いについて表示していた銘柄はなかった
・葉酸の1日の耐容上限量に関して、具体的な説明があった銘柄はなかった
・一日摂取目安量を守るように促す注意表示は約3分の1の銘柄でしか見られなかった
・葉酸の1日当たりの摂取量の目安に関する表示があった銘柄は約3割であった

 

 

最終的に消費者へのアドバイス、事業者、行政に対しての要望をまとめています。

 

消費者へのアドバイス
・食事性葉酸とモノグルタミン酸型の葉酸は利用効率が大きく異なること
・妊娠前後を除いては、普段の食生活から摂取することが大切
・銘柄によって葉酸の量が異なるので自分に必要な摂取量を把握した上で摂取する

 

事業者への要望
・健康食品で用いる葉酸と食事性葉酸では利用効率が異なることを明記すること
・葉酸の上限耐用量、摂取目安量について具体的に表示すること

 

行政への要望
・消費者が葉酸に対して正しく理解するよう必要な摂取量や表示について検討すること
・上限耐用量や摂取目安量について注意喚起すること

 

 

参考資料

 

1.神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について

 

2.母子健康手帳の任意記載事項様式の改正について(平成20 年12 月15 日 雇児母第1215001 号)の56P
(参照URL http://www.jaog.or.jp/sep2012/News/2008/15Dec2008/H21boshi_tetyo1.pdf)

 

3.「日本人の食事摂取基準(2010 年版)」

 

4.「妊娠中の食事とサプリメントについて」(パンフレット)
(参照URL http://hfnet.nih.go.jp/usr/kiso/pamphlet/pregnant.pdf

 

上記の資料から抜粋した内容も報告書の後ろに記載してあり、全て読むと葉酸についてかなり勉強になります。

 

葉酸含有量はほとんどが誤差の範囲内だった

葉酸含有量

 

「葉酸は、光や酸性下での加熱により分解することが知られているが、商品の賞味期限の間は、表示された含有量が栄養表示基準に定められている誤差の許容範囲内であることが求められており、その幅は、−20〜+80%の範囲内と広く設定されている。」

 

つまり葉酸の含有量が1日あたり400μgの商品の場合、誤差の範囲は

 

320μg〜720μg

 

に設定されていることになる。+80%って、ずいぶん誤差があるように思えるし、もし本当に720μgも入っていたら1日の上限耐用量を超えてしまう可能性も。

 

15の「MVP 葉酸+ヘム鉄(ネイチャーラボ)」は明らかに誤差の範囲を超えて少ないのでダメですね。それ以外は少ないもので-20%以内、多いもので+145%以内に収まってます。これだけ見ると、含有量ってけっこういい加減なんですね。

 

原材料に「葉酸」の記載のない銘柄のモノグルタミン酸の含有量

原材料に「葉酸」の記載のない銘柄のモノグルタミン酸の含有量

 

3 LIFE STYLE 天然・B群マルチビタミン B-50 コンプレックス(エープライム)
14 Vitalcares Folic Acid 葉酸(400μg)(日本ダグラスラボラトリーズ)
15 MVP 葉酸+ヘム鉄(ネイチャーラボ)
21 緑豆まるごと葉酸(シナジーカンパニージャパン)
25 HEALTY-One (FOLIC ACID)葉酸(美高商事)

 

上記の図を見ると実に興味深いことが分かります。

 

・天然素材100%をうたってる商品でも、その実態はほとんどが合成葉酸だった
・100%合成葉酸ではなく、わずかながら天然葉酸も混じっている
・天然素材のためか、表示どおりの葉酸含有量から大きく上下している

 

これらのケースと似たような銘柄はいくつかあります。
・ベルタ葉酸サプリ
・美的ヌーボプレミアム
・オーガニックレーベルの葉酸
・パティ葉酸サプリ

 

このうち、ベルタ葉酸サプリは原材料に「葉酸」表記がありますが、基本的には天然素材を使用しています。

 

残りの3つは天然素材100%をうたっており、あたかも天然葉酸(ポリグルタミン酸型の葉酸)と勘違いしてしまう可能性があります。

 

上限摂取量が1000μgなのに、天然葉酸で吸収率が半分だから800μg必要と勘違いして、普段の食事からの葉酸摂取量と合わせて1日の合計が1000μgを超えてしまう恐れもあります。

 

消費者の目線で見るなら、吸収率が2倍違うのだから合成なのか天然なのかきちんと明言しないと親切とは言えないでしょうね。

 

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